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弊社では競走馬牧場の厩舎や従業員さんの社宅など、牧場関係者の方々からの建築依頼が多く、様々なご相談をお受けいたしております。
今回も前回と同様に競走馬生産牧場様からの社宅建築のご依頼があり、新築工事を施工させていただきました。
今回の現場は2024年の8月頃から着工しており、この度完成した次第です。
こちらの牧場様は、牧場施設の更新であったり、従業員さんのための社宅の更新に大変力を入れておられる環境の整った企業様です。
主な業務としては30頭前後の競走馬の生産をメインにされております。
新冠町にはアパートなどの賃貸物件が現状非常に少なく、牧場の従業員さんも住むところに困っておられる現実があります。
住宅を借りて住むことが難しいという理由から、社宅の建設が大変多くなっているのでしょう。
また、この地域にはライフラインである下水道が無く、浄化槽を設置するのが通常です。
上水道に関しては町の上水道を引き込んで対応し、電力は北海道電力が供給しています。
暖房や給湯は灯油で、灯油FFストーブと灯油壁掛けボイラーを採用。
ガスは使用せずキッチンにIHコンロを設置することで、光熱費のランニングコスト削減を考慮させていただきました。
部屋の広さも基本的には単身用ですが、夫婦2人なら十分に暮らせる広めのサイズ感に仕上げています。
また、部屋の窓からは放牧地が2.5m程度の距離なので、馬を放すと窓越しに馬と接することができる環境です。
当然ですが牧場には馬が好きな方が働かれていると思いますので、きっと毎日楽しく有意義にお仕事に専念できるのではないでしょうか。
それでは建物の内容を解説していきます。
- 新冠郡新冠町 T牧場様社宅新築工事
- 建築面積 :164.41㎡
- 延べ床面積:149.05㎡
- 敷地面積 :390.00㎡
- 木造平屋建て:1棟4戸
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1棟4戸の社宅で基本的には4人の単身者の住居ということになります。
木造平屋建て住宅で屋根形状は4寸勾配の切妻屋根です。
4寸勾配とは1mで40cmの傾斜になっていることで、切妻屋根とは建物の中心に棟があり両サイドや前後に勾配を取った屋根形状のことです。
屋根材は軽量で耐震性に優れ、耐用年数の長いガルバリウム鋼板の金属製屋根材を採用しています。
昨今の日本は全国的に地震のニュースが多発していますよね。
そのため屋根は軽量にするのが基本です。
耐震性の向上や地震対策として、この金属製屋根材は今の時代に最も適しています。
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外壁は外壁メーカーとして有名なニチハの「モエンエクセラード16」という窯業系サイディングの16mm厚を採用しています。
レンガ風に見えるビローネブリック調で、色目はブラウン系を選択し落ち着いたイメージに仕上げました。
1色ではなくブラウンの濃淡があることで、外壁が単調にならず動きのあるデザインになり活動的に見えます。
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こちらは背面から見た外観です。
基礎の高さもGL(地面の高さ)から450mmの高さをキープし、エアコンの室外機も雪に埋もれないように基礎の高さに合わせて設置台を高くしています。
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サッシは樹脂窓YKKAPのプラマードHを採用しています。
プラマードHは複層ガラスでアルゴンガスが注入されており、Low-E金属膜が施され断熱性の高さを主張したサッシ窓です。
熱貫流率も1.34W/(㎡・K)と優れた断熱性と耐風圧性を兼ね備えた寒冷地に最適な樹脂窓といえます。
大きな開口を確保し、より多くの光や風を取り入れる北海道限定の商品です。
特に樹脂スペーサー仕様なので、アルミのスペーサーよりも熱が逃げない構造になっています。
スペーサーとは、ガラスとガラスの間の部材です。
サッシが樹脂であればスペーサーも樹脂である方がより性能が発揮できます。
アルミのスペーサーと比べてサッシの表面温度が3℃も差が出てしまうのです。
樹脂サッシを選ぶ際は、必ず樹脂スペーサーを選択した方が良いでしょう。
窓から外を見ると・・・
もうそこに放牧される馬の柵があり、馬との距離が近いことが分かりますよね。
すごく素敵な環境に社宅を建てさせていただき感激です。
従業員さんのモチベーションも上がり毎日ハイテンションで働く姿が目にうかびます。
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北海道らしい素敵な風景です。
1つで2戸分を賄う灯油のタンクも容量があって安心して使っていただけます。
灯油タンクは建物の両サイドに1つずつ設置しています。
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リビングから玄関を見た画像です。
約14帖の広いリビングはワンフロアなので家具の配置は自由自在です。
ソファ・テーブル・テレビの配置、ベッドの向きも自分好みに変えられます。
照明も2つに分けて使いやすくしました。
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画像の手前はリビングダイニングとして利用していただき、奥のスペースはベッドという配置がベストです。
窓はFIXと建て滑りの窓で、明るさと換気を考慮しながらも気密性の高い建て滑り窓を採用しました。
大きな掃き出し窓も採光が取れて、外にも出入りできるようにしてあります。
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角度を変えて撮影するとクローゼットから見ればこんな感じです。
掃き出し窓を開けると、馬が手に届きそうですよね。
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約1,800mm幅の収納物入れは玄関ホールからリビングの通路に設置しました。
生活に必要な物を何でも収納できる物入れになります。
棚も可動式なので高さを自由に変えることができるため、収納物の高さに応じて合わせることが可能です。
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部屋によってキッチンの向きは変わります。
シンプルでスタンダードなキッチンですが、IHコンロは2口で料理も作れるように考えて採用しました。
キッチンの幅も1,800mmと単身者用としては十分なサイズです。
天板もステンレス製なので、清潔感があり汚れに強く掃除しやすいのが特徴です。
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白一色で統一された洗面台はシンプルながらも使い勝手が良く、棚がたくさんあり様々なグッズを置くことができます。
洗面室の床は濡れても大丈夫なクッションフロアを採用しています。
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浴室は0.75坪で単身者なら十分な広さです。
汚れが目立ちにくく掃除のしやすいバスルームを採用しています。
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窓は横滑りで換気と採光も取れるようにしました。
床は洗面室と同様に水に強いクッションフロアを採用しています。
今回は、競走馬生産牧場の社宅である木造平屋住宅をご紹介しました。
社宅と言ってもサッシや住宅設備はワンルームマンションレベルに仕上げています。
今後賃貸アパートやマンション、社宅の建築をご検討の方にもきっと参考になったと思います。
ご検討の方は弊社にお気軽にご相談ください。