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2025.12.01

耐震金物とは?木造住宅の耐震性能を支える重要な役割と種類を解説!

地震の多い我が国において住宅の耐震性能は最も重要と言っても過言ではありません。
日本全国どこにおいても地震災害のリスクがあります。
大切な家族の命と財産を守るためにも耐震性能の高い住宅づくりが求められていますよね。
日本の戸建住宅は約80%が木造住宅と言われており、近年その耐震性も年々高まっています。
木造戸建て住宅の耐震性を高めるには、さまざまな手法や技術が求められていますが、その中の一つに「耐震金物」があります。
しかし耐震金物は壁の中に隠れている部分でもあり、その役割や効果などは 一般的にはあまり知られていないのが実情です。
そこで今回は、その耐震金物にフォーカスしその種類や役割などを解説します。

この記事で得られる知識

①: 耐震金物についての種類やその効果を理解することができる
②: 新築やリフォームに役立つより地震に強い家にするための方法が得られる

耐震金物とは?

①:耐震金物の役割

耐震金物とは、地震の揺れで生じるあらゆる部材の緩みやズレ、引き抜きを防ぎ建物の強度と耐震性を高めるためのものです。
木材同士の接合部を固定することで、柱や梁などの構造部材が破損したり外れたりしないようにします。
建物の構造を金物によって守ることで建物の倒壊や変形を防ぐ役割があります。

②:木造住宅における耐震金物の必要性

木造住宅では柱や筋交い、土台と基礎など主要な構造部材を固定するために耐震金物の使用が義務付けられており、適切な箇所に正しい方法で取り付けることが重要です。
木造住宅の耐震金物は、地震の揺れによる建物の弱点である接合部を補強することで、建物全体の強度を高めます。
最終的に建物の倒壊を防止し居住者の安全を守るためには不可欠なものと言えます。

主要な耐震金物の種類

①:ホールダウン金物の役割

ホールダウン金物とは、地震や台風の水平力によって柱が土台や梁から抜けるのを防止するための耐震金物です。
耐力壁の端の柱などに設置され、基礎、土台、柱または上下階の柱同士を緊結することで、柱の引き抜きに対して抵抗する働きをします。
ホールダウン金物は、1995年の阪神大震災での柱の引き抜きによる倒壊被害を受けて、2000年から 建築基準法で義務付けられています。

②:筋交いプレートの役割

筋交いプレートの役割は柱と筋交いを固定し、地震による建物の横揺れや変形に抵抗する力を高める働きをすることです。
筋交いは本来水平方向の力に抵抗する重要な部材なのですが、プレートで固定することにより引き抜きを防止し、筋交いが本来の性能を発揮できるようサポートをしています。
特に築年数の古い木造住宅では、引き抜きに弱いため筋交いプレートでの補強が推奨されています。

③:アンカーボルトの役割

アンカーボルトの役割は、基礎コンクリートと建物の土台や柱を固定し、地震や風などによる建物のずれや持ち上がり、分離などによる倒壊を防ぐことです。
先端が L 字 型や U 字型に曲げられていることが多く、引き抜きにくい形状なので土台と基礎を緊結する役割を担っています。

新築住宅における耐震金物の確認ポイント

①:ハウスメーカー選びのポイント

耐震金物を使用しているハウスメーカーを選ぶポイントは、まず耐震等級3を標準仕様としていることです。
また、耐震実験の実績や基礎工事の工法と地盤調査の実施状況、耐震対策のバリエーション(耐震・制震・免震)保証やメンテナンス体制などを確認することが必要です。
さらに建物の構造やシンプルな形状、設計力、実際の施工事例も参考になります。

②:設計段階での確認事項

新築住宅の耐震金物設計段階で確認すべきことは、設計図書(仕様書や図面)で金物の種類と配置、 それらの性能、基礎との関連性、建物のバランスをチェックすることです。
具体的には基礎のアンカーボルトの確認や柱頭、柱脚、金物の種類、壁の仕様、建物全体の重量バランスと耐力壁の配置、その設計図書と実際の工事内容に相違がないかを確認します。
なかなか施主様側からすると難しい作業になりますが、どういう金物がどこにあり、どのような役割を果たすか、その強度など設計担当に質問してみましょう。

③:施工時の確認ポイント

新築住宅の耐震金物施工時の確認ポイントは、金物の種類、位置、向き、固定状態の確認やミス不良の有無の確認が必要です。
また配管や配線を通すために欠き込みの有無とその程度の確認も必要です。
これらの確認は図面と照合し、金物が図面通りに設置されているのか適切な本数と種類のビスで固定されているかなどを確認することが重要です。

耐震金物を後付けする際の効果とメリットについて

①:既存住宅の耐震性能向上

既存住宅の耐震性向上を図るために耐震金物を後付する最大のメリットは、地震による建物の損傷や倒壊のリスクを低減し安全な住環境を確保できることです。
例えばホールダウンのような金物は、地震時に柱が土台から引き抜かれるのを防ぎ、制震ダンパーなどの制震金物は、建物の揺れを吸収し繰り返し発生する地震によるダメージの蓄積を防ぎます。
これにより既存住宅の耐震性を持続させ、家族の生命と暮らしを守り快適な住まいが維持できます。

②:地震時の倒壊リスク低減

既存住宅の耐震性能を補強したい場合は、耐震構造に制震ダンパーを追加することで、耐震だけではカバーしきれない揺れやエネルギーを吸収し、より高い耐震性能を発揮します。
また、耐震診断を実施し弱点を見つけた上で、適切な耐震金物を取り付けます。
これによりコストを抑えながら効果的に耐震性を高めることで地震時の倒壊リスクを低減します。

耐震金物を後付けする時の手順と注意点

①:専門家による耐震診断

耐震金物の後付は、ホームインスペクターや一級建築士などによる専門家の耐震診断が必須で、その診断結果に基づき金物の種類と設置箇所を決定します。
手順としては、まず専門家への相談と建物情報の収集、現地調査を経て診断レポートに基づいて設計、工事を行います。
注意点は信頼できる建築士や耐震診断士に相談し、壁や天井を一部剥がして構造内部を確認する場合の費用などを確認することが必要です。

②:必要な金物の選定

必要な金物の選定は構造の弱点によって異なり、土台と柱をつなぐホールダウン金物や壁や柱の接合部を強化する接合金物などが代表的です。
耐震診断の結果に基づき最適な補強方法と必要な金物の種類や取り付け位置を決める必要があります。
注意点は必ず専門家から必要な金物の詳細説明を受けましょう。

③:施工時の注意事項

施工時の注意事項としては必ず建築士や専門の工務店などに相談し、建物の状態に合わせた最適な計画を立てることが重要です。
施工時の際は、設計図通りに金物が正確な位置に設置されているか確認することや不適切な位置は建物の強度を逆に低下させる可能性があるので注意が必要です。
下地材や柱の設置が水平垂直になっているのか複数方向から測定し、直線的かつ平行になっているか確認することも大切なポイントです。

④:費用の目安

耐震金物の費用の目安は金物の種類や形状によって異なりますが、1か所の設置につき1〜3万円程度が目安となります。
ただし、工事の内容や範囲によって大きく変動するため、どのような工事内容になるのかをよく相談し見積もりを依頼しましょう。
また耐震診断費用は 5〜10万円程度が相場とされています。

まとめ

いつ起きるかわからない地震災害なので、その恐ろしい地震から誰もが家族や住宅を守りたいと思っていることでしょう。
地震が起こっても安心して暮らせる耐震性能の高い家を担保しておきたいものです。 今回は家の耐震性能に重要な役割を担う耐震金物について解説しました。

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