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2025.07.31

地盤調査の基礎知識:重要性や調査結果の見方を解説!

新築住宅をはじめ、あらゆる建物を建てる場合に必要なのが地盤調査です。
マイホームを建てる場合、見積もりの中に地盤改良費という項目があります。
これは地盤調査によって改良が必要なければ費用はかかりませんが、改良が必要となればそれなりに大きな金額が必要になってきます。
今回は地盤調査の基礎知識について解説します。

地盤調査とは?

地盤調査とは住宅やアパート、マンションに関わらず、建物を建てる前にその地盤がどの程度の重さに耐えられるのか、また沈下に抵抗する力を持っているかを調べることです。
土地によって地盤の固さや柔らかさは全く異なります。
例えば土地が軟弱な地盤で、建物の重さに耐えられないと建物そのものが沈んでしまいます。
地盤調査では、建物が沈下するかしないかを判断し、沈下の恐れがあるという調査結果が出た場合には適切な対策を取る必要があります。

①:地盤調査の目的と重要性

地盤調査の主な目的は、地盤が構造物を安全に支持できるかどうか、また安全に支持するための方法を技術的に調査することです。
また、構造物を建設するための地表面下の地盤状況を把握することや土自体の正常を工学的に把握すること、地下水の流れなどから地盤の変動を探ることなどがあります。
今後起こりうる災害を未然に防止するために、その土地にとってどのような対策が必要なのかを調査する必要があるのです。
さらに地番調査の重要性は、建物の安全性を確保し地盤の強度を把握することで不同沈下や建物の傾きのリスクを回避することです。
建物の寿命を左右する大変重要な調査で、将来的なトラブルを防ぎ、安心して暮らせる住まいを実現するためにとても重要な役割をしています。

②:地盤調査の費用目安

地盤調査は戸建て住宅の場合、SWS試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)が一般的です。
大きなマンションなどは数十メートルという深く掘るボーリング調査というのが必要ですが、木造住宅などの新築住宅を建てる場合の調査方法としてSWS試験は主流となっています。
SWS試験地盤調査の費用の目安はおよそ5〜8万円を目安にしておくと良いでしょう。

③:スクリューウェイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)の特徴

スクリューウェイト貫入試験とは、新築住宅の地盤調査で最も一般的な調査方法です。
標準貫入試験によるN値に相当する「換算N値」を算出することができます。
調査器は手動式のほか半自動式、全自動式があり全自動式であれば作業は一人で1ポイントにつき30分程度で実施が可能です。
戸建て住宅の場合は、建物の4つの角と中心の5ポイントを調査し半日程度で完了します。
敷地全体の様子を知ることができるため費用もリーズナブルでメリットのある調査方法です。
しかし、スクリューウェイト貫入試験は、土質が採取できないため土の中のガラや一定以上の固い地層に達すると貫入が不可能になります。
10m以上の深度が増す場合や摩擦補正を行わないために精度が低くなるなど、簡易調査であるため熟練の技術者による資料調査などから総合的に判断するという必要があります。

地盤調査結果の見方

それでは地盤調査の結果はどのような見方をすればいいのでしょうか。

①:調査結果の基本項目

地盤調査結果の基本項目は、地形区分・造成情報・地盤の沈下に関する情報・土の圧縮による沈下・ 支持力・液状化のリスク・地層構成などが主な内容です。

・ 地形区分

 調査地点がどのような地形に属しているかを把握します。

・ 造成情報

過去に造成工事が行われている場合その内容を把握します。
例えば盛土の有無や厚さ、土質などです。

・ 地盤沈下に関する情報

過去に周辺で地盤沈下が発生している場合その原因や規模を把握します。

・ 土の圧縮による沈下

土が圧縮されることで地盤が沈下する可能性を評価します。
特に軟弱な粘土層や腐植土層は地盤沈下が起こりやすい傾向があります。

・ 支持力

 地盤が建物の重さにどれだけ耐えられるかを評価します。

・ 液状化リスク

 地震時に地盤が液体のようになる現象のリスクを評価します。

・ 地層構成

 地盤の土の種類である砂質土・粘土質土などや層厚、深度ごとの特性を把握します。

・ N値

 標準貫入試験の結果から得られる数値で地盤の硬さを示す値です。

・ 地下水位

調査時に確認された地下水を把握します。
地下水が高いと地盤の強度低下や液状化のリスクを高めます。

・ 土質

土の種類を分類しそれぞれの土の特徴を把握します。

②:N 値の見方と意味

N値とは、地盤の固さや強度を表す指標で標準貫入試験で算出することができます。
N値が大きいほど地盤が固く、小さいほど軟弱であることを示します。

N値内容
〜4極めて軟弱な地盤で地盤改良が必要になる可能性が高い数値
5〜10軟弱な地盤で建物の重量によっては地盤改良が必要になる可能性がある数値
10〜30比較的安定した地盤で基礎地盤として一般的に扱われる数値
30以上強固な地盤で大型構造物でも安定して支持することができる数値

N 値は地盤改良の必要性を判断する基準の1つとして重要な役割を果たしています。
新築住宅など建物を建てる際には必ず行う必要があり、瑕疵担保保証にも影響する内容となります。

③:地盤の状態と対策の目安

一般的な新築住宅の建築の場合は N 値が5以上あれば可能とされています。
対策の目安としては軟弱地盤と判断された場合には地盤改良工事が必要です。
土に薬剤を混入させて表面を強固にする表層改良やコンクリートの杭を打たなければならない場合もあります。
支持層が深い場合は杭を打ち込むことで建物を支えることができます。
また不同沈下対策として基礎の設計や工法を工夫することで不同沈下を防止することもできます。

④:調査結果で確認すべきポイント

地盤調査結果で確認するべきポイントは、計画する建物の重量に見合った支持力があるかどうかを確認することが重要なポイントです。
また液状化リスクのある地盤であれば、地盤の種類や地下水位が関与しているのでその対策が必要です。

地盤改良の必要性について

①:改良工事が必要な場合

地盤が軟弱であれば 建物が傾いたり不同沈下を起こします。
最悪の場合は倒壊するリスクもあり、地盤改良はこれらのリスクを軽減し建物を安全に支持するために必須です。
また地震が多い日本では、液状化現象や地盤沈下のリスクがあるため、より一層慎重な対策が必要となります。
地盤改良を行うことによって、不同沈下や倒壊リスクの防止につながり資産価値が向上します。

②:コストへの影響

地盤改良の費用は工法や地盤の状態、改良範囲によって異なります。

工法 費用の目安
表層改良工法30~50万円
柱状改良工法50〜100万円
鋼管杭工法100〜200万円

新築住宅を計画する際には、地盤調査の結果次第で地盤改良費用が不要の場合もあれば100万円以上かかってしまう場合もあります。
そのため予備費用として100万程度の予算を見ておく必要があります。

③:工期への影響

地盤改良工事の工期は状況によって変わりますが、表層改良の場合1〜2日、柱状改良の場合2〜3日で完了することが一般的です。

まとめ

新築住宅を建てようとする土地が軟弱な地盤では、様々なリスクがあり安心して生活することができません。
そのため法律で義務付けられている工事なので、安心して長く住み続けるためには地盤調査結果に応じた地盤改良工事をすることが必須とされています。

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