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2025.06.16

剛床工法(根太レス工法)とは?メリット・デメリットを解説!

剛床工法ってどんな工法?

今回は少しマニアックな地震や台風に強いと言われている剛床工法について解説します。
今の時代、日本全国どこの地域でもいつ災害がやってくるのかは分かりません。
災害に強い家を作るために、剛床工法とはいったいどのようなものなのかを知っておきましょう!

剛床工法とは?

剛床工法とは、床を構成する材料である根太を使用せずに、厚めの床下地合板を直接梁に貼り付ける工法です。
根太を使用せずに床を構成するため「根太レス工法」とも呼ばれています。
根太とは、床板を支えるため床の下に渡す横木のことです。
その根太を使用せずに合板で構成するため「根太レス工法」と表現しています。

・剛床工法の読み方

剛床工法の読み方は「 ごうしょうこうほう」と読みます。
書いて字のごとく床を強くする工法という意味があり、最近ではよく採用される工法です。

 ・従来の根太工法の特徴

従来の根太工法は、木造住宅の床組みにおいて、大引の上に根太を置きその上に床下地合板を貼る方法です。
幅45mm高さ60mm の水平材を303mmの間隔で組んでいきます。
特徴としては、根太と大引が床にかかる荷重を吸収し分散させるため、床の耐震性を高めるとともに床下空間を形成し通気性を向上させます。
根太工法のメリットとして耐震性が高く通気性が良いところはあるのですが 、一方のデメリットとしては根太を使用するため作業に手間がかかり、工期が長くコストが高くなるという一面もあります。

・剛床工法の特徴と性能基準

①:特徴

剛床工法は地震や台風などの災害に強く、床のたわみなどを抑制する方法でもあります。
厚みのある合板を梁に直接貼り付けた面構造で、地震の力を分散させるため耐震性能が向上します。
地震の揺れに抵抗するための水平構成 (ねじれに対する抵抗力)を向上させ建物全体が一体となり地震の揺れや台風などの強い圧力を受け止めやすくするのです。
また、火災時の燃え抜けの抑制にもつながります。
さらに、材料の量も若干少なくなるため施工が簡単で、施工時間を短縮し工期を短くできるという利点もあります。

②:性能基準

性能基準としては、建築基準法に基づく耐震性能を満たしている必要があります。
また、耐震等級も3相当など高い耐震性能を持つものが多く採用されています。
床倍率は床の強さを表す指標で、3が最高ランクになり従来の工法と比較して約3倍の強度があると言われています。
さらに、地盤調査を行い地耐力に応じた適切な基礎工事を行うことが必要です。
基礎の立ち上がり部分の幅は、公庫基準の最高値である150mmとするのが一般的となっています。

剛床工法のメリットとデメリット

それでは近年人気になっている剛床工法のメリットとデメリットを見ていきましょう。

・剛床工法のメリット

メリット①:地震や台風の災害に強い

剛床工法は横揺れや歪みに対して耐力を持つ技術なので、地震や台風の多い日本に最も適した方法と言えます。
水平方向の力に強く災害時の圧力に対して建物の変形を防ぎます。
一度地震や台風の災害によって強いダメージを受けた建物は、その時に持ちこたえたとしても次に再度同じような災害に見舞われた時には耐久性が発揮できない場合があります。
日本は何度も繰り返す大きな地震の揺れや台風被害に見舞われるリスクがあるのが現状です。
安心して暮らすために、この耐久性は大変大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

メリット②:施工時間が早く工期短縮につながる

剛床工法は根太のような水平材を使用しないため、従来の根太工法と比べると材料の数が減少し素早く施工ができます。
工事にスピード感をもたらすことで工期の短縮にもつながります。

メリット③:床のたわみを抑制する

根太工法とは異なり厚い合板を使用することで床のたわみを抑え、歩行時の不快感を軽減することができます。

メリット④:火災時の燃え抜けを抑制する

剛床工法は床に貼る合板の厚みがあるため、火災時に下の階からの燃え抜ける時間が長くなり火災の広がりを抑制することにつながります。

メリット⑤:設計の自由度が高い

剛床工法は構造上梁の配置に制約が少ないため、幅広い設計が可能になり設計の自由度が高くなります。
そのため思い通りの間取りを実現することにもつながります。

メリット⑥:均一な施工ができる

従来の方法よりも簡単で短時間で作業を進めることができるため、ムラのない仕上がりで均一な施工が 可能です。
材料が簡素化されることによって施工しやすくなり、想定外の減少が起きにくく完成度の高い仕上がりになります。

・剛床工法のデメリット

デメリット①:通気性があまり良くない

剛床工法によって作られた床は、従来の根太工法で作ったものと比較すると通気性があまり良くないと言われています。
そのため湿度の高い場所では、カビが生えやすくなったり、場合によっては材木が腐食してしまう可能性も出てきます。
この方法を採用する場合は、施工する際に湿気対策をどのようにするのかをチェックすることが必要です。

デメリット②: 上階の音が下階に響きやすい

剛床工法は、根太のような水平材を使っていないため床下が空洞の状態になります。
そのため上階の足音や物を落とした時など下階に響きやすくなる デメリットがあります。

デメリット③:床の傾きに影響が出ることもある

剛床工法の場合は、躯体自体に不具合などがあれば床の傾きに影響が生じることがあります。
基盤の歪みが激しい場合にはしっかりした床を構築できない可能性も出てくるので注意が必要です。

・剛床工法で必要な対策

①湿気カビ対策

剛床工法は通気性があまり良くないので、カビが発生しやすい環境を作りやすくなります。
そのため、木材が腐食したりする可能性もあるため床下の湿気対策が必要です。
カビを防止したりシロアリや木材の腐食を防止するため、調湿作用のある材料や換気器具で多湿状態にならないように対策をしましょう。

②:防音対策

剛床工法は床の音が響きやすいデメリットがあるので、防音材を使うなど音が気になる方は防音対策をすることが必要です。

住宅購入時の確認ポイント

・剛床工法の有無の確認方法

剛床工法の有無を確認するには、床の構造を実際に確認する必要があります。
その確認方法として床を叩いて音を聞いたり床の厚さを見分けたり、構造下地を確認するという方法があります。
例えば床を叩いて硬い響きがあれば剛床工法で空洞を感じる音であれば根太工法です。
注文住宅の場合は設計や仕様を確認すれば良いですが、 中古住宅の購入の際にはホームインスペクターに依頼することで判断できるでしょう。

・品質の確認方法

構造計算や施工計画書を確認し、設計通りの耐震性能の強度があるのかを確認しましょう。
また、柱周りや壁との接続部の気密処理を確認し、気密性や断熱性能がしっかりしているかを確認 することも必要です。
他には通気性が悪いため、換気設備の設置やカビ対策用の塗料などを使用し湿気対策をしているかを確認します。

・保証内容の確認

剛床工法の保証内容を確認するには。まず 購入した住宅の契約書や保証書を確認しましょう。
契約書には住宅の構造や工法に関する詳細な情報が記載され、保証書には必ず保証期間 や対象範囲などが記載されています。

まとめ

剛床工法について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
剛床工法にはメリットデメリットがあります。 その内容を踏まえた上で住宅購入時には信用のある建築会社と相談することが必要です。

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