住宅ローン金利は日銀とマイナス金利政策の解除などで、今後は変動金利、固定金利ともに上昇していく可能性がありそうです。
今後、住宅ローン金利はどうなっていくのでしょうか?
今回は2025年以降の金利の見通しと住宅ローンの影響を解説します。
変動金利が利上げ
日銀は急激な円安を抑制するために、金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決定いたしました。
住宅ローンへの影響は2024年10月1日から金利改定で、金融期間は変動金利の利上げを行いました。
金利が上がっても5年間は返済額は据え置きされ、6年目以降も1.25倍の金利以外は月々の返済額に反映しなくても良いというルールがあります。
ただし、このルールの意図はあくまでも返済不能になることを防ぐための「差額金利分の返済を繰り越しする」というルールであり差額の金利分の返済を全く払わなくていいというわけではありません。
ローン返済の最後にまとめて支払うというルールなのです。
マイナス金利解除後の変動金利はどうなるのか?
日銀はマイナス金利を解除した後、利上げに動いています。
利上げによって短期プライムレートが上昇するとしたら、住宅ローンの変動金利はどうなるのでしょうか。
将来の変動金利の行方を予想するためには、引き下げ幅と日銀の今後の金融政策に注目する必要があります。
引き下げ幅については、金融機関同士の競争が続く限りある程度のところで高止まりが期待されます。
住宅ローンは金融機関にとって、個人のお客様に提供している重要な金融商品の一つなので、金融機関同士の競争は非常に敏感です。
また、日銀の金融政策に影響を与える物価の情報を確認しておきましょう。
総務省統計局が発表した2024年8月分の消費者物価指数は、前年同月比プラス 2.8%となっており、現実的には日銀の目標であるプラス2%を超えているのです。
しかも年2%以上の物価上昇は一時的なものではなく、2022年から継続的に起きています。
このような傾向から日銀がマイナス金利を解除し、さらに政策金利を引き上げたのは自然なことだと考えられます。
物価上昇の見通し
物価の先行きを展望すると消費者物価の前年比は2024年度に2%台半ばとなりました。
その後は2025年度及び2026年度にはおおむね2%程度で推移すると予想されています。
中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には物価安定が推移すると考えられています。
また、国内外の物価上昇の原因は原油価格の上昇にあります。
日本の輸入品の中で原因が最も大きな割合を占めているため、輸入物価は原油価格の影響を受けてしまいます。
住宅ローン固定金利の状況
このように、住宅ローンの変動金利に影響を与える政策金利に対する利上げの要因を見てきましたが、固定金利についても見ていきましょう。
まず 、固定金利についても金融機関同士の引下げ幅競争が行われている点については、変動金利と変わらなく同じです。
固定金利は変動金利より先行して上がるといわれています。
その原則通りに2022年以降は固定金利は上昇傾向にあります。
その理由は長期プライムレートの上昇です。
固定金利の基準金利は長期プライムレートによって決まり、そのため長期金利が上昇すると固定金利も上昇します。
2024年の長期金利は上下に変動しており長期金利の方向性はやや不透明です。
今後、長期金利の水準が1段階上昇すると住宅ローンの固定金利の水準は底上げされる可能性が出てきます。
住宅ローンの金利タイプとメリット
それではここで再度住宅ローンの金利タイプについて見ていきましょう。
住宅ローンの金利タイプには変動金利タイプ・全期間固定金利タイプ・固定金利期間選択タイプの3種類があります。
①:変動金利タイプ
変動金利タイプは金利が一定期間ごとに見直されます。
メリットは一般的に各固定金利タイプよりも金利が低く設定されている点が挙げられます。
しかし、デメリットとしては市場金利が上昇した場合には返済金利が上がり、毎月の返済額が増えるリスクがあります。
当然、市場金利が下がった場合には返済金利は下がることもありますが、日本国内の金利はすでに低金利であるため金利の下げ幅は期待できません。
また、金利の上がり下がりによって返済額が変動するため返済計画が立てづらくなります。
金利が低い状況を活用し短期間で返済することが可能な方や金利変動リスクを受け入れられる方に向いています。
繰り上げ返済を考えておられる方にはおすすめです。
②:全期間固定金利タイプ
全期間固定金利のタイプは 契約期間中一定の金利が適用されます。
そのため、金利 変動のリスクがなく毎月の返済額が変わらないというメリットがあります。
住宅ローンは長期の借り入れであるため、将来金利が上昇する可能性に不安を感じる人にとっては安心な選択肢となります。
しかしデメリットとしては、当初の金利が一般的に変動金利よりも高いことが挙げられます。
結局のところ変動金利が上昇しない場合には、相対的に利息の総支払額が多くなるということです。
金利が一定のため計画的な返済がしやすく、月々の支払い額が変わらない安定感を求める人には向いています。
金融機関によって金利等の条件はそれぞれ異なるため、比較検討して選択することをおすすめします。
③:固定金利期間選択タイプ
固定金利期間選択タイプは、契約者が固定金利の機関を選択できるタイプの住宅ローンです。
固定機関が終了するとその時点の金利で再度固定機関を選択するか、変動金利に切り替えることもできます。
借入当初の固定金利は前期間固定金利タイプよりも低い傾向であるため、借入時の金利を抑えられるというメリットがあります。
また、固定金利期間選択タイプは比較的高い金利で借りている方が借り換えをする際に有効です。
借り換え前の金利よりも低い金利タイプを選択することで毎月の返済額を抑えられる可能性があり、一定期間は金利上昇リスクがないからです。
デメリットは固定期間が終了した際に、金利が上昇している場合には返済額が増える可能性が あることです。
各金利タイプは 金融機関ごとに適用金利や条件が異なるため、比較検討し選択することが必要です。
今後はどの金利タイプを選べば良いのか
住宅ローンの金利タイプを選択する際のポイントは、それぞれの金利タイプの特徴を理解することとライフプランにあった金利タイプを選ぶことが重要です。
ライフプランに合わせた金利タイプを選ぶポイントは、まず自分の収入や支出ライフイベントなどの将来の見通しを考慮し返済計画を立てることです。
固定金利は金利上昇リスクを避けられるため、将来の支出が増える可能性がある場合やリスクを抑えたい場合に適しています。
変動金利は低金利を生かして返済額を抑えられますが、目先の金利の低さだけで判断するのではなく金利上昇に耐えられるかどうかも判断基準になります。
固定金利期間選択タイプは支出の多い時期の返済額を確実に抑えたい場合に有効です。
自分にあった金利のタイプは一体どれなのかをよく考え選択しましょう。
しかし、まだまだ住宅ローン金利は低い状況ですから、現状は固定金利よりも変動金利の方が優位といえます。
ただし、今後の流れも踏まえて収入の25%以内という住宅ローンの支払いの目安を守り、無理のない範囲で借り入れを行うことが重要ではないでしょうか。