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2024.07.08

地震で倒壊しないための家づくりのポイントとは?

今年に入って地震が多いのは皆さんも感じておられることと思います。
今年の初めに能登半島沖地震が発生し、その後も各地で大きな揺れを観測しています。
家を建てる際にやはり気になるのが耐震性ではないでしょうか。
家の倒壊は災害時だけではなく、家の状況によっては自然倒壊を起こす可能性もあります。
それでは一体どのような状態の家が倒壊しやすい家なのでしょうか。
倒壊しやすい家の特徴を紹介し、自分の家が当てはまるのかどうかを確認しましょう。
倒壊しやすい家の特徴を紹介し、自分の家が当てはまるのかどうかを確認しましょう。

地震で倒壊しやすい家

地震で倒壊しやすい家はどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
倒壊しやすい家 がどのようなものなのかを知ることで、その状況に対して対策を取ることが必要です。

①: 旧耐震基準で耐震補強をしていない建物

1981年5月31日までに確認申請を受けた建物は、全て旧耐震基準で建てられた建物といえます。
1981年6月1日以降に確認申請を受けた建物は新耐震基準で建てられています。
新耐震基準では、震度6強から7強程度の強い地震が来ても生命に関わるような倒壊が起こらないようになっているのに対して、旧耐震基準は震度5程度の地震が来ても倒壊しないということが基準になっているため、旧耐震基準の家は震度6以上の地震が発生すると倒壊しやすい家であるということになります。
旧耐震基準で建築された建物であっても、その後耐震補強工事をしている場合はその補強に応じて耐震性は向上しています。
今現在住んでいる家が旧耐震基準の場合であれば、 耐震補強工事をどのレベルでしているのかを確認しましょう。
つまり、旧耐震基準で建築された建物は地震で倒壊しやすい家ということです。

②:屋根に重量がかかっている建物

これは皆さんもご存知だと思いますが、屋根が重い建物は地震に弱い建物といえます。
屋根に重量がかかっている場合は地震の際に揺れが大きくなります。
新耐震基準を満たしていれば 震度7 程度の地震が来ても基本的には倒壊する危険性は少ないですが、屋根の軽い家と比較すると倒壊するリスクは高くなるといえます。
屋根が重い家の代表的な屋根材は瓦葺きの屋根です。
台風や 経年劣化によって瓦は徐々にズレが生じたり、ヒビや割れが発生していることがあります。
そうなるとバランスが悪くなり倒壊しやすくなる可能性が高くなるのです。
定期的なメンテナンスをしていれば安心ですが、点検などされていない場合にはより危険度が増します。
また後付けで屋根に太陽光パネルを設置した場合など、耐震性が低下している可能性があります。 もちろん太陽光パネルを設置する際に安全性を確保して設置されているのですが、そもそも太陽光パネルを設置する予定で作られていない屋根に設置する場合は、余計な負荷がかかるので全く影響がないとは言い切れないのです。
近年の新築住宅やリフォームでも屋根を軽く軽量化するために、ガルバリウム鋼板の金属製の屋根材が採用されることが増えています。
また、一見瓦に見えるような金属製の屋根材や樹脂製の屋根材なども、続々と開発されていますので専門業者に相談しましょう。

③:シロアリ被害が出ている建物

家のメンテナンスで最も放置されやすいのが床下のシロアリ対策です。
外壁や屋根の塗装メンテナンスなどは目につくところなので、放置すると見た目も悪いためメンテナンスは比較的しやすい場所といえます。
しかし、皆さんは床下を覗いたことがあるでしょうか?
また、定期的に床下の点検を業者に依頼したことはあるでしょうか?
通常シロアリの薬剤を新築時に散布すると約5年で効力はなくなります。
そのため本来なら5年に1度の点検が必要になります。
少なくとも10年に一度の薬剤の散布は確実に必要です。
それを放置して怠るとシロアリが発生し、柱や梁に被害が出ている場合があるのです。
シロアリ被害の怖いところは見えないところで被害の浸食が進んでいることです。
シロアリによって木造住宅の構造である柱や針を食い荒らされていると、たとえ新耐震基準で建築された建物であってもそれだけの耐震性を維持できなくなる可能性があるのです。
震度 6から7 程度の地震が発生しても絶対大丈夫だと思っていたら、シロアリの被害によってそれほど大きな地震でなくても家が倒壊するまたは半壊する危険性があるのです。
定期的に点検を依頼し駆除や薬剤散布を行うことが必要です。

新旧の耐震基準の違い

前述にもありますが、旧耐震基準と新耐震基準はどのように違うのかを見ていきましょう。

新耐震基準旧耐震基準
確認申請受理日1981年6月1日以降1981年5月31日以前
耐震性能震度6強 から7 程度の大規模地震で倒壊や崩壊はしない震度5程度の中規模地震で倒壊や崩壊はしない
地震による被害状況
(熊本地震のデータによる)
倒壊率10.9%
(2000年基準は2.2%)
倒壊率28.2%
税制優遇住宅ローン控除適用住宅ローン控除適用無し

新旧耐震基準の違いはまずいつ建てられたかで、その際の確認申請が受理された日がいつなのかで分かれます。
耐震性能は、阪神大震災や東日本大震災、熊本地震や直近の能登半島沖地震など震度6強から7程度の地震で倒壊しないのが新耐震基準になります。
反対に旧耐震基準は震度5までの地震では倒壊しないというのが基準になっているので震度7レベルの地震が発生した時には耐えられない可能性が高いということです。
熊本地震の被害状況のデータを見ても、新耐震基準は約10%の倒壊に対して旧耐震基準の建物は30%近く倒壊しています。
しかし、新耐震基準だから必ずしも倒壊しないという保証はありません。
数回震度7レベルの地震が連続すると、半壊や倒壊もゼロではないということも覚えておきましょう。
ただし、2000年基準の耐震基準を満たしていれば熊本地震のデータから約2%しか被害は及んでおりません。

倒壊しない家づくりのポイント

より地震に強い家を選ぶなら耐震等級3を選びましょう。

・耐震等級1

一般的な一戸建て住宅は耐震等級1 が多い傾向にあります。
耐震等級1は、建築基準法が定める最低限の基準をクリアしている建物です。
震度5程度の地震では倒壊しませんが、震度 6から7の地震が何度も来ると倒壊のリスクは高くなります。

・耐震等級2

耐震等級1の1.25倍の耐震性能があります。
災害が起きた時の避難場所 や大勢の命を守るべき場所である 学校や病院などの施設は耐震等級2以上が義務付けられています。

・耐震等級3

耐震等級3 は耐震等級 1の1.5倍の地震に耐えられる強度の建物です。
耐震等級の中でも最高レベルの耐震強度があり、実際に警察署や 消防署は このレベルで建設されていることが多くあります。
震度 6から7の地震が数回来ても倒壊することなく建っているレベルとされています。

このように耐震等級には現状3つの等級に分かれています。
耐震等級3にすると多少なりとも建築費用が上がります。
必ずしも耐震等級3でなければならないという訳ではありませんが、予算があればより地震に強い方が安心ですよね。

万が一倒壊してしまったら?

万が一家が倒壊したら住宅ローンが免除されることは基本的にはありません。
状況によっては救済策はありますが、住宅ローンの現状を把握しておくことが重要です。
また、地震保険は火災保険の保険金額の50%しか掛けられないため、地震保険金で家を建て直すことは難しいので注意が必要です。
あくまで生活再建のための資金と捉えておきましょう。

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