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2023.11.21

土地を買っても建てられないことがよくあるトラブルとは?

注文住宅を建てる場合にまず土地探しをしますよね。
土地の売買は高額な取引な上に一生のうちで何度も経験するものではありません。
不慣れなこともありトラブルが起きることも決して珍しいことではないのです。
ただ適切に対処すれば土地売買のトラブルは防ぐことが可能です。
今回はよくある土地売買のトラブルについて解説します。

土地売買で起こりやすいトラブル

土地の価格は高額でトラブルに発展しやすい取引になることが多く、解決するまで時間を要することも多々あります。
一般の人たちにとっては不慣れな取引であるうえに専門的知識も必要になります。
そこで、土地売買で起こりやすいトラブルを紹介していきましょう。

・隣地との境界線に関するトラブル

最も多いトラブルの一つとして挙げられるのが隣地との境界に関するトラブルです。
土地の境界は本来、国や自治体によって管理されています。
しかし、記録されているものと実際の状況に相違があることも少なくありません。
境界が決まっていないままでは土地の売買をすることはできません。
境界を確定する場合は、土地の所有者が立ち会った上で確認する必要があります。
場合によっては所有者同士の認識や主張が食い違っていることも多々あり、境界の確定に非協力的な人もいるのでなかなか確定できない事例もあります。

:対処方法

境界が決まらない場合は筆界特定制度を活用すると良いでしょう。
筆界特定制度は専門家である筆界調査委員がもともと存在した境界を定める制度で半年から一年で解決します。
裁判をするよりも早い解決が望めます。
あとは土地家屋調査士に相談して法的拘束力のある和解誓約書によってトラブルを納めることもできます。

・購入した土地に地下埋設物があるトラブル

土地の下に地下埋設物が残ったままだと建物が建てられない場合があります。
このトラブルは最もよく発生するトラブルといっても良いでしょう。
地下埋設物とは、地下に残された建物のコンクリートの躯体や産業廃棄物などのことで、地中障害物とも呼ばれています。
地下埋設物は従前の建物を解体する際に地下の階をそのまま残して埋め戻したものなどが多くみられます。
以前の状況が田畑を開発した土地であればまだ良いのですが建物が建っていて解体し、更地にしている場合は注意が必要です。
更地の状態にしてあると、地下埋設物が残されているのかどうかは見た目にはよく分かりません。
その真実を知っているのは売主だけなのです。

:対処方法

地下埋設物を発見し存在した場合は、売主は買主に告知する義務が発生します。
もしその告知が無いままに売却し、地下埋設物が発見された場合は買主から売主に対して損害賠償を請求することもできます。
地下埋設物が存在した場合のように通常有すべき品質を欠くことを「瑕疵」(かし)と言われていますが、地下埋設物が残っていれば瑕疵にあたるということです。
つまり売却後に瑕疵が発見された場合は、損害賠償や契約解除を請求することも可能です。
これを不動産の売却では契約不適合責任と言います。
通常はこの契約不適合責任は3ヶ月とすることが一般的なので4ヶ月目に瑕疵を発見した場合は売主は契約不適合責任を負わなくて良いことになります。
ただし、売主が地下埋設物の存在を知っているにも関わらず黙って売却した場合は、決められた期間を過ぎても契約不適合責任を免れることはできません。

・環境的瑕疵に関するトラブル

環境的瑕疵とは周辺環境に関係する問題のことです。
環境的瑕疵の現象とどのような施設があるのかをみていきましょう。

①:近隣で新たなビルや高層マンションなどの建築計画があり眺望や日照を阻害する
②:墓地や葬儀場、刑務所、風俗店などがあり心理的に忌避されること
③:高圧線鉄塔、ガスタンク、危険物貯蔵施設、暴力団事務所など危険を感じさせる
④:工場、ゴミ処理場、下水処理場、養豚・養鶏場、火葬場などの煤煙や悪臭を発生させる
⑤:大型車両が出入りしたりする物流倉庫などがあり騒音や振動を発生させる

:対処方法

環境的瑕疵についても買主に告知しないとトラブルになるケースがあります。
土地は購入したもののこのような環境では住宅を建てても生活に支障が出るということで建てることができないこともあるのです。
環境的瑕疵の問題は人によって感じ方に相違があるため売主が環境的瑕疵と思っていなくても買主側にすればそう感じることもあるので環境の説明はする義務が売主には発生します。
物理的瑕疵も環境的瑕疵も同じように「告知書に包み隠さず記載する」「売買契約書で契約不適合責任の免責条項を設ける」ということが必須条件のポイントになるでしょう。
つまり瑕疵に関しては全て売主は買主に告知する義務があるというわけです。

土地購入の失敗事例

それではよくある土地購入の失敗事例を紹介していきましょう。

①:土地の造成

販売している土地を検索すると、必ずしも道路と高低差がなくフラットな土地ばかりではありませんよね。
道路との高低差があり擁壁が必要になり余計な費用がかかり、予算がオーバーしてしまったという方も多いと思います。
また、余分な土をすき取らないと家が建てられなかったり、ガレージが確保できなかったりすると残土処分費用などが発生してきます。
さらに反対に土を入れて盛土工事が必要になる場合もあります。
つまり、土地の高低差によって思いがけない費用が発生することもあるので、購入前に建築業者に調べてもらうことが必要です。

②:道路の費用

道路は自治体の管轄なので頼めば工事を無償でしてくれるだろうと思っている方も多いと思いますが、そうとは限らないので注意が必要です。
例えば側溝の蓋が破損していたり、無かったりした場合は自己負担がほとんどです。
よくあるのが幅の狭い側溝で金属製のグレーチングが有るところと無いところがあったり、新しいグレーチングのサイズが合わなかったりします。
コンクリート製の側溝蓋も全て揃っていないこともあります。
自治体が費用を負担してくれる場合もありますが、工事もいつしてくれるかも分からなくて結局自己負担でグレーチングや蓋を購入することになると思っておいた方が良いでしょう。
また、歩道がある場合などは車を駐車させるために、段差を解消する乗り入れ工事や街路樹があれば移動させる工事などがあります。
こういった工事は自治体に事前申請をして承認されないと工事はできません。
工事費用は当然ですが自己負担です。
土地を購入する前にこのような工事が可能なのかを確認して、費用も調べてからでないと購入することはおすすめできません。
さらに自治体で決められた材料や施工方法があるため特殊な工事になり、費用が高くなることもあるので事前に見積もりを依頼することが必要です。

③:更地渡し

以前建物が建っていた土地を購入する場合は既存建物の解体工事が必要になります。
売主側が解体する場合は解体した廃材を敷地内に埋めて引き渡すことがまれにですがあります。
このような業者や売主も少なからず存在するので注意が必要です。
いざ地盤調査や基礎工事を始めようとして土を掘ったら、瓦礫や廃材などがたくさん出てきて想定外の処分費用がかかった例もあります。
これは前述にあるように契約不適合責任を追求すれば損害賠償や契約解除も可能です。

まとめ

土地を購入する前は以上のようなことに注意して、建築業者や専門業者に確認してもらうことが必要です。
難しい法的なことも含めて事前に知識を得ることが重要ではないでしょうか。

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